2027年開始「育成就労」の対象職種は?転籍解禁で「選ばれる企業」しか生き残れない時代の外国人材活用戦略

はじめに:外国人雇用を根底から覆す「育成就労制度」

「技能実習制度が廃止され、新しい制度になるらしいが、うちの業種は対象なのか?」 「転籍(転職)ができるようになると聞いたが、せっかく育てた人材が逃げてしまうのではないか?」

2027年頃までに施行予定の「育成就労制度」は、これまでの外国人雇用を根底から覆す大改革です。最大の変化は、これまでの「国際貢献」という建前を捨て、正面から「人材の育成と確保」を目的とのこと、そして「条件付きで転籍(転職)が可能になる」ことです。

これは経営者にとって、採用した人材がより良い条件を求めて他社へ流出するリスク、つまり「採用・教育コスト(投資)が回収できなくなるリスク」を意味します。

本記事では、育成就労制度の対象となる職種(16分野)の詳細と、新制度下で企業が勝ち残るための「定着と生産性向上の仕組み(アップカルのソリューション)」について解説します。


1. 「育成就労制度」とは?技能実習からのパラダイムシフト

目的は「国際貢献」から「人材確保・育成」へ

従来の「技能実習制度」は、開発途上国への技術移転を目的としていましたが、実態は労働力不足の解消手段となっていました。新設される「育成就労制度」は、この実態に即し、「特定技能1号水準の技能を有する人材の育成」および「人材の確保」を明確な目的としています。

「3年で育てて、特定技能へ」のキャリアパス

新制度は、基本的に3年間の就労期間を通じて、即戦力となる在留資格「特定技能1号」の水準まで人材を育成することをゴールとしています。これまでの「育てて帰国させる(技能実習)」制度から、「育てて、そのまま長期的な戦力として定着してもらう」制度への転換です。

最大のリスクとチャンス:「転籍」の解禁

技能実習では原則不可だった転籍が、育成就労では「同一の受入れ機関で1〜2年就労」し、「一定の技能・日本語レベル(A1〜A2相当)」にあれば、本人の意向による転籍が可能になります。魅力のない職場からは人材が流出する一方で、魅力ある職場には優秀な人材が集まるチャンスでもあります。


2. 育成就労制度の対象となる「職種・分野」の全貌

育成就労制度の受入れ対象分野は、これまでの技能実習の職種をそのまま引き継ぐのではなく、「特定技能制度」の対象分野(特定産業分野)と一致させる方向で調整されています。

特定技能と連動する「16の特定産業分野」

現在、育成就労の対象として見込まれているのは以下の16分野です(2024年の追加分野含む)。

  1. 介護(身体介護等)
  2. ビルクリーニング(建築物内部清掃)
  3. 工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業を統合)
  4. 建設(土木、建築、ライフライン・設備)
  5. 造船・舶用工業(溶接、塗装、機械加工など)
  6. 自動車整備(日常点検整備、分解整備など)
  7. 航空(グランドハンドリング、航空機整備)
  8. 宿泊(フロント、接客、レストランサービス)
  9. 農業(耕種農業、畜産農業)
  10. 漁業(漁業、養殖業)
  11. 飲食料品製造業(飲食料品の製造・加工)
  12. 外食業(飲食物調理、接客、店舗管理)
  13. 自動車運送業(トラック、タクシー、バス) ※新設
  14. 鉄道(軌道整備、車両整備など) ※新設
  15. 林業(育林、素材生産など) ※新設
  16. 木材産業(製材、合板製造など) ※新設

技能実習で対象だった職種がなくなる可能性

重要なのは、「特定技能の分野に該当しない職種」は、育成就労での受け入れができなくなる可能性があるという点です。現在、技能実習生を受け入れている企業は、自社の職種が新制度の対象に含まれるか、早急に確認する必要があります。


3. 「育成就労」を活用する企業のメリットと新たな責任

【メリット】即戦力へのスムーズな移行と長期雇用

育成就労から特定技能への移行において、対象職種が一致しているため、試験免除などでスムーズに移行できます。これにより、最長5年(特定技能1号)〜無期限(特定技能2号)の長期雇用が可能になり、採用・教育コストの回収期間を長く確保できます。

【メリット】就労開始前からの日本語能力要件

育成就労では、入国前に「日本語能力試験N5相当(A1レベル)」の合格、または相当する講習受講が要件化される予定です。最低限の日本語力を持った状態で入社するため、初期のコミュニケーションコストが軽減されます。

【責任】厳格化される育成・支援体制

監理団体は「監理支援機関」へと改組され、外部監査人の設置など要件が厳格化されます。受入れ企業にも、日本人と同等以上の報酬はもちろん、キャリアパスの提示や学習支援など、より質の高い育成環境の整備が求められます。


4. 転籍を防ぎ、投資を回収する。アップカルの定着戦略

「1年経ったら転職されてしまった」という事態を防ぐために、企業は何をすべきでしょうか。アップカルは、テクノロジーを活用した「定着と生産性向上の仕組み」で、この課題を解決します。

「言葉の壁」を放置しない。多言語日報アプリ「KABETORI」

現場でのコミュニケーション不全は、離職の最大の原因です。アップカルの「KABETORI」は、日報を「①母語原文」「②直訳」「③丁寧な日本語」の3層構造で保存します。「日本語が通じない」と嘆くのではなく、「彼らが母語でどう思考し、何を伝えたかったのか」を可視化することで、誤解の原因を特定し、相互理解を深めることができます。

AIによる感情解析で「辞めたいサイン」を早期検知

KABETORIに蓄積された日報データはAIが解析し、文章に含まれるストレス語やネガティブな感情の推移をダッシュボード化します。「転籍したい」と言い出す前の、小さな不満や悩みの段階でアラートを検知できるため、面談などの早期介入が可能になり、人材流出を未然に防ぐことができます。

評価への不満を解消する人事システム「MICHISUJI」

外国人材が転籍を考える大きな理由は「給与」と「キャリアの不透明さ」です。アップカルの「MICHISUJI」は、外国人材に特化した人事評価アプリです。「何を頑張れば給料が上がるのか」「どんなスキルを身につければ特定技能へ移行できるのか」を多言語で可視化し、公平な評価を行うことで、エンゲージメントと定着率を高めます。


5. 採用前から勝負は始まっている。「現地育成」の重要性

ミスマッチを最小化する「プレ教育」

アップカルは、海外の教育機関と連携し、入社前に「現場で使う専門用語」や「安全管理」「日本の労働習慣」の教育を行う「現地育成」を推進しています。一般的な日本語教育だけでなく、自社の業務に即した予習を行うことで、入社後のリアリティショック(想像と現実のギャップ)を防ぎ、スムーズな立ち上がりを支援します。

採用コストを「消費」から「投資」へ

外国人材1名の採用には、紹介料や渡航費などで約60万円以上の初期投資がかかると言われています。新制度下では、定着しなければこのコストはすべて損失になります。「現地育成」でミスマッチを減らし、「KABETORI」と「MICHISUJI」で定着と成長を促す。この一貫した仕組みを持つことこそが、育成就労制度を成功させる唯一の道です。


結論:育成就労制度で未来を築くために

2027年に始まる育成就労制度は、人手不足に悩む企業にとって、長期的な人材確保の大きなチャンスです。しかし、従来の「安価な労働力」という意識のままでは、人材はすぐに他社へ流出し、経営リスクを高めるだけです。

これからの企業に求められるのは、外国人材を「共に成長するパートナー(人的資本)」として迎え入れ、彼らが能力を発揮し続けられる環境を作ることです。

アップカルは、「『壁』を取り除き、『付加価値』を生み出す」をミッションに、現地育成から入社後の定着、生産性向上までを一気通貫で支援するプラットフォームです。「新制度への対応に不安がある」「どの職種で受け入れるべきか相談したい」という経営者様は、ぜひ一度アップカルにご相談ください。