海外人材採用のポイントと成功への具体策

はじめに:グローバル化時代における海外人材採用の重要性

日本企業は、少子高齢化の進行により、深刻な人手不足に直面しています。厚生労働省のデータによると、2025年2月の有効求人倍率は1.24倍に達し、2014年頃から求職者よりも求人数が多い「売り手市場」が続いています。このような状況では、「募集をかけても採用できない」という声が多く聞かれ、人材確保に苦労する企業が増加しています。

一方で、国内で働く外国人労働者の数は年々増加しており、2024年10月末時点で230万人を突破し、過去最高記録を更新し続けています。外国人労働者を雇用する事業所の数も、6年前と比較して約1.58倍の約34万箇所に増加しており、その雇用は年々拡大していることが分かります。これは、国内の人手不足を伴い、外国人材を雇いたいという需要が高まっていることを示しています。

このような背景の中、企業がグローバル市場で競争力を強化し、持続的な成長を実現するためには、「海外人材採用」が不可欠な戦略となりつつあります。本記事では、海外人材採用のメリットから、直面しうる課題、成功のための秘訣、そして具体的な日本の在留資格制度まで、網羅的に分かりやすく解説します。


1. 「海外人材採用」とは?日本の現状と制度を理解する

「海外人材採用」とは、日本に在留する外国人、または海外に在住する外国人を日本企業が雇用する取り組み全般を指します。この章では、海外人材採用の定義を明確にし、日本の外国人労働者を取り巻く最新状況と主な在留資格制度の概要を説明します。

1.1. 海外人材採用の定義と広がり

海外人材採用は、大きく分けて二つのケースを含みます。一つは、海外在住の外国人を日本に招くケース(在留資格認定証明書交付申請)です。もう一つは、日本にすでに在留する外国人(例:留学生、家族滞在者、すでに就労資格を持つ者など)を採用するケース(在留資格変更許可申請)です。

この概念は、特定の専門技術を持つ「高度外国人材」の採用(「技術・人文知識・国際業務」など)から、人手不足分野で即戦力となる「特定技能」を持つ人材の採用まで、多岐にわたる在留資格制度を利用した広範な取り組みを指します。

1.2. 日本の外国人労働者を取り巻く現状

日本の外国人労働者の数は2024年10月末時点で230万人を超え、過去最高を更新中です。外国人労働者を雇用する事業所の数も増加しており、その雇用は年々拡大しています。在留資格別の内訳を見ると、身分に基づく在留資格はあまり変化がありませんが、資格外活動、技能実習、専門的・技術的分野といった就労目的の在留資格を持つ外国人が増加しています。国籍別の割合では、ベトナムが約25.3%を占め最も多く、次いで中国(香港・マカオを含む)が19.4%、フィリピンが11.1%と続いています。これはアジア諸国からの労働者の割合が高い傾向にあることを示しますが、近年はベトナムと日本の賃金格差が縮小していることから、インドネシア、ミャンマー、ネパールなど東南アジアからの労働者の増加が予想されています。産業別の割合では、「製造業」が26.0%と最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が15.4%、「卸売業、小売業」が13.0%となっています。これは、人手不足が深刻な分野ほど、外国人労働者の受け入れが進んでいることを示しています。

1.3. 海外人材採用を支える主な「在留資格」制度

外国人が日本で合法的に就労するためには、適切な「在留資格」が必要です。よく「就労ビザ」という言葉が使われますが、正確には「在留資格」が日本での活動内容を定める許可であり、「ビザ」(査証)は入国時に必要な許可証を指します。在留資格には、就労が認められているもの、条件付きで認められているもの、一切就労が許可されないものがあり、雇用する業務内容と在留資格が一致しているかを確認することが不可欠です。

  • 特定技能:
    • 2019年4月に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。
    • 対象分野は現在16分野(介護、ビルクリーニング、製造業、建設、宿泊、外食業など)に設定されています。
    • 特定技能1号は通算で上限5年の在留期間で、家族の帯同は原則認められません。相当程度の知識または経験と、日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力(N4レベル以上が目安)が求められます。学歴要件はなく、各分野の技能試験と日本語試験に合格することで取得可能です。
    • 特定技能2号は在留期間に上限がなく、要件を満たせば家族帯同が可能です。熟練した技能が求められ、試験等で証明が必要です。特定技能16分野のうち、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業、介護を除く12分野が対象となります。
    • 特定技能外国人は、複数の特定産業分野の業務に従事することも可能です。
  • 技術・人文知識・国際業務(技人国): エンジニア、経理、マーケティングなどの専門職が対象で、大学卒や10年以上の実務経験が要件となる場合が多いです。
  • 技能実習制度の廃止と「育成就労制度」の創設: 従来の技能実習制度は、労働力として扱われる、悪徳ブローカーによる借金問題、失踪などの問題が指摘され、廃止が決定され、新たに「育成就労制度」が創設されることになりました。特定技能制度は、育成就労制度の受け皿とも位置づけられています。
  • その他の在留資格: 「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人が就労するには、原則として「資格外活動許可」が必要です。また、週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)の労働時間制限があります。

2. 海外人材採用の5つのメリット:企業にもたらされる多角的な価値

海外人材採用は、単なる労働力確保に留まらない、多岐にわたるメリットを企業にもたらし、多様な視点と国際競争力の向上に貢献します。

2.1. 深刻な人手不足の解消と安定した労働力の確保

人材不足の解消は、海外人材採用の最も直接的なメリットです。日本人材だけでは不足している専門的なスキルや経験を持つ労働者を確保する機会が広がります。特に、介護やビルクリーニング、宿泊、飲食業といった人手不足が深刻な分野では、外国人材の活用が有効な選択肢となります。求職者の母数を広げることで、採用に苦戦していた職種でも望む人材に出会える可能性が高まります。また、繁忙期の短期的なニーズにも対応できる柔軟な労働力の確保にもつながります。

2.2. 社内のグローバル化と組織の活性化

外国人労働者は、日本人とは異なる視点や斬新なアプローチで問題解決に取り組み、新しいアイデアを生み出す起爆剤となる可能性があります。日本企業が重視する協調性や同質性がイノベーションの障壁となる場合もある中、多様な文化や価値観を持つ人材の採用は、それを打破するきっかけとなります。

自らの意思で日本での就労を決意し来日している外国人労働者は、向上心が高く勉強熱心な人材が多い傾向にあり、高い意欲で様々な業務に取り組む姿勢は、周囲の日本人従業員に対しても良い刺激を与え、社内全体の学習意欲やモチベーションの向上、活性化が期待できます。日本人従業員が外国人との交流を通じて、異文化理解を深め、国際的なビジネス感覚を養うきっかけにもなります。

2.3. 海外展開・インバウンド対応力の強化

海外進出を考えている企業にとって、外国人労働者は現地の言語、文化、商習慣、法規制に精通した即戦力となります。言語の障壁や文化的な誤解を避け、よりスムーズな事業展開が可能になります。

また、訪日外国人(インバウンド)旅行客は増加の一途を辿っており、特に接客業やサービス業では、外国人従業員が母国語や英語で顧客に対応できるため、顧客満足度の向上に直結します。外国人従業員がいることで、その国の文化や価値観を踏まえたスムーズな接客が可能になり、インバウンド対策強化に繋がります。

2.4. 新しい視点と多様性によるイノベーション創出

多様な文化背景を持つ人材の導入は、企業の既存の思考パターンを打破し、新しい視点をもたらします。これにより、今まで発想しなかった業務内容の改善や効率化、新しいサービスや製品の創出といったイノベーションが生まれやすくなります。多様な視点と国際競争力を向上させる上で、不可欠な要素です。

2.5. 労働環境の改善と生産性の向上

海外人材を受け入れるために、企業がより働きやすい環境(多言語対応のマニュアル整備など)を整備する過程で、結果的に日本人従業員にとっても労働環境が改善される効果も期待できます。また、外国人労働者の新しいスキルや労働文化が業務プロセスに良い影響を与え、業務効率の改善や生産性の向上に寄与する可能性があります。例えば、ビルクリーニング分野では、深刻な人手不足に対応するため、清掃ロボットの導入促進などによる段階的な生産性向上に取り組んでいます。


3. 海外人材採用で直面する3つのデメリットと課題

メリットを最大化するためには、デメリットや課題も十分に理解し、対策を講じることが不可欠です。

3.1. 文化や習慣、言語の違いによるミスコミュニケーション

外国人労働者は日本とは異なる文化や環境で育っているため、善悪や価値観の基準が異なることがあります。そのため、悪気がなくとも誤解や不信感、摩擦につながってしまったり、場合によっては法に触れてしまったりする可能性もあります。

また、日本語レベルの問題だけでなく、コミュニケーションに対する考え方の違いもあります。日本人は大まかな指示でも意図を汲み取って行動する傾向がありますが、海外では業務指示は明確かつ具体的に伝えることが多く、言われた内容をそのまま実行します。「察する」ことを前提とした指示ではうまく伝わらないことがあるため、伝え方を工夫することや、それを現場にも理解してもらう必要があります。

3.2. 法的手続きの煩雑さと受け入れにかかる時間・コスト

外国人労働者の雇用には、在留資格申請や各種届出など、日本人雇用にはない特有の行政手続きが発生し、煩雑です。海外現地から人材を招く場合、在留資格の申請からビザの発行、渡航までに数ヶ月の時間を要することがあります。

特に特定技能制度では、企業(特定技能所属機関)に「1号特定技能外国人支援計画」の実施が義務付けられており、住居確保、生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、定期面談などが含まれます。これらの義務的支援の実施には、時間とコストがかかります。この支援に要する費用(義務的支援に係るもの)を外国人本人に直接的または間接的に負担させることは法律で禁止されています。

3.3. 不適切な受け入れによる法的リスク・企業イメージ低下

  • 不法就労助長罪: 在留資格で認められていない業務に従事させたり、在留資格を持たない外国人を雇用したりすると、企業側も罰則の対象となります(懲役3年以下または300万円以下の罰金など)。
  • 「安価な労働力」という誤解の払拭と「同一労働同一賃金」の徹底: 海外人材採用は、人手不足解消を目的としており、安価な労働力を確保するための制度ではありません。外国人労働者であっても、日本人と同等以上の賃金を支払う必要があります(同一労働同一賃金)。最低賃金法は外国人労働者にも適用されます。これを無視することは違法であり、企業イメージの低下を招きます。
  • 差別的待遇の禁止: 外国人労働者に対する差別やいじめといった問題も依然として存在します。国籍や人種を理由とした募集・採用での差別、労働条件における不当な扱いは禁止されており、暴力や暴言、宗教上の行為を不当に制限するなどの行為は、パワハラや人権侵害に該当し、決して許されません。
  • 保証金・違約金契約の禁止: 外国人やその配偶者、直系親族その他社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく活動に関連して、保証金を徴収したり、契約不履行に対する違約金を定める契約は、不当な行為として禁止されています。旅券や在留カードを企業が保管することも禁止されています。

4. 海外人材採用を成功させるための8つの具体策

海外人材採用を成功させ、定着・活躍してもらうためには、計画的かつ継続的な取り組みが不可欠です。採用戦略と定着支援が特に重要になります。

4.1. 計画的な採用戦略の策定と要件明確化

どのようなスキルや経験が必要か、採用する職種や業務内容を具体的に定義しましょう。自社の採用予定職種に合った適切な在留資格(特定技能1号・2号のどちらか、また対象分野)を事前に確認することが重要です。 入社後のミスマッチを防ぐため、実際の業務内容、職場環境、地域の気候、生活の利便性などを正確かつ丁寧に伝え、リアリティショックを予防しましょう。

4.2. 在留資格制度の正確な理解と法令遵守の徹底

雇用する外国人には、その在留資格で認められている業務のみに従事させてください。違反は不法就労助長罪につながります。外国人労働者を雇用・離職した際は、ハローワークへの届出が義務付けられています(特別永住者を除く)。 日本人と同様に、健康保険・厚生年金・雇用保険への加入手続きを行い、所得税や住民税の計算・源泉徴収を適切に実施してください。旅券や在留カードを企業が保管することは禁止されています。

4.3. 丁寧なコミュニケーションと異文化理解の促進

業務指示は「察する」ことを前提とせず、明確かつ具体的に伝えましょう。外国人労働者の日本語スキル向上を支援する言語トレーニングの機会を提供したり、社内ルールや日本の生活情報を多言語で提供したりすることも効果的です。 日本人従業員向けに、外国人労働者の文化や習慣、働き方への価値観の違いを理解するための異文化理解研修を設けることも検討しましょう。

4.4. 充実した生活・職場環境のサポート(支援計画の実施)

特定技能1号の場合、以下の内容を含む「1号特定技能外国人支援計画」を実施する義務があります。

  • 住居の確保: 不動産仲介支援、連帯保証人となる、社宅提供などを行います。
  • 銀行口座開設、携帯電話利用契約、電気・水道・ガスなどの生活に必要な契約手続きの支援。
  • 日本の生活ルール、ゴミ出し、交通ルール、防災・防犯、医療機関の案内などを含む生活オリエンテーションの実施。
  • 入社後のオンボーディングプログラムや社内ルールの周知により、職場環境への適応を促進します。
  • 3か月に1回以上、本人と監督者それぞれとの定期的な面談を実施し、生活や業務上の困り事を把握し、相談・苦情に対応する体制を整えましょう。問題発生時には行政機関への通報義務もあります。
  • 地域住民との交流機会の提供や、地域イベントへの参加支援も促進しましょう。

4.5. 登録支援機関の活用も検討

自社で支援計画の全てを実施することが困難な場合、「登録支援機関」に支援計画の全部の実施を委託することができます。登録支援機関は、外国人材の支援に関する専門知識と体制を持っており、必要な手続きのサポートや生活支援を代行してくれます。登録支援機関への支援委託費用は、外国人本人に直接的または間接的に負担させることは法律で禁止されています。登録支援機関の登録は5年間有効で、更新が必要です。登録申請手数料として28,400円、更新には11,100円がかかります。

4.6. キャリアアップ支援と定着率向上

外国人労働者のモチベーション維持と定着率向上のために、キャリアアップ計画をあらかじめ作成し、雇用契約締結前に書面で説明する義務があります。 非自発的離職時(倒産、解雇など)には、企業は公共職業安定所などと連携し、新たな就職先を見つけるための転職支援を行う義務があります。安易な解雇や雇い止めは避けるべきです。適切な賃金設定と、能力や経験に応じた評価を行うことで、長期的な定着を促しましょう。

4.7. 雇用労務責任者の選任と共生社会への協力義務

外国人労働者を常時10人以上雇用している企業は、人事担当者など役職にある者を「雇用労務責任者」に選任し、外国人材の雇用管理を統括することが推奨されています。 また、特定技能所属機関は、外国人労働者が活動する事業所の所在地や住居地を管轄する地方公共団体から、共生社会実現のための施策(例:行政サービス案内、交通ルール、医療、防災訓練、地域イベント、日本語教室など)への協力を要請された場合、これに応じ、必要な協力を行う責務があります。

4.8. 助成金制度の活用

外国人雇用に際しては、トライアル雇用助成金(一般コース)や人材開発支援助成金(特定訓練コース)など、厚生労働省の助成金制度を活用できる場合があります。これらの助成金は、職業経験が少なく就職が困難な求職者(外国人も対象)や、専門知識・技能取得のための訓練を実施する企業が対象となります。条件を満たす場合は、忘れずに申請しましょう。


5. 海外人材採用の具体的なステップ

実際に海外人材を採用する際のフローは、日本人採用のプロセスと共通する部分が多いですが、特有の手続きや留意点があります。

5.1. STEP1: 人材募集とチャネル選定

自社ホームページ、外国人派遣会社、SNS、人材紹介会社、留学生向け説明会、学校など、多様なチャネルを活用して求人情報を発信します。求人内容は、言語や文化の違いを考慮し、明確かつ理解しやすい形(多言語対応など)で提供することが重要です。 海外現地から人材を募集する場合、企業が単独で行うには費用・労力が大きいため、外国人採用に精通した人材紹介会社やエージェントの活用が効率的です。

5.2. STEP2: 選考・内定

書類選考で応募者の資格や経験を確認し、その後の面接で、ビジネスマナーやコミュニケーション能力、日本語能力(ビジネスシーンではN2レベル以上が目安)、そして候補者の人柄や仕事に対する理解を詳しく見極めます。 日本に在住している外国人を対象とする場合は、必ず在留カードの原本を提示してもらい、在留期限が切れていないか、氏名や在留資格に誤りがないかをきちんと確認しましょう。また、リアリティショックを防ぐため、業務内容や職場環境、生活情報を正確に伝えることが重要です。

5.3. STEP3: 労働契約の締結と支援計画の作成

在留資格に問題がないことを確認した上で、賃金や労働時間などの労働条件を明確に書面で通知します。外国人労働者が内容を理解できるよう、必要に応じて母国語や英語の翻訳も提供しましょう。報酬額は、同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上であることを確認してください。 特定技能1号を受け入れる場合は、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、地方出入国在留管理局へ提出しなければなりません。

5.4. STEP4: 在留資格(就労ビザ)申請・変更

外国人労働者が日本で合法的に働くためには、適切な在留資格の取得(新規申請)または変更(変更申請)が必要です。 海外から新規に外国人を招く場合、地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請」を提出します。すでに日本に在留している外国人が新たな職に就く場合は「在留資格変更許可申請」が必要です。審査には通常1~3ヶ月程度の期間を要します。

5.5. STEP5: 入社準備・雇用開始、支援の実行

在留資格が許可されたら、外国人労働者が新しい環境でスムーズに仕事を開始できるよう、住居の手配、業務内容の説明、就業に必要なものの準備を行います。 雇用開始後は、作成した支援計画に基づき、定期的な面談、生活サポート、日本語学習機会の提供などの支援を着実に実行してください。外国人労働者を雇用・離職した際は、ハローワークへ届出を行い、社会保険・税関連の手続きも適切に進めましょう。


6. 海外人材採用に関するよくある質問(FAQ)

企業が海外人材採用に関して抱く疑問を解消します。

  • Q1: 外国人労働者は安く雇えるのでしょうか?
    • A: いいえ、日本人労働者と同等以上の賃金を支払う義務があります。特定技能制度は、人手不足解消を目的としており、安価な労働力を確保するための制度ではありません。「同一労働同一賃金」の原則が適用されますので、国籍を理由に賃金や待遇で差別することはできません。
  • Q2: どんな手続きが必要で、どこに相談すればいいですか?
    • A: 主に在留資格申請、労働条件の明確化、1号特定技能外国人支援計画の作成・実施、各種届出などが必要です。手続きは複雑なため、初めての場合は、特定技能外国人の紹介専門会社、外国人雇用に詳しい行政書士、または登録支援機関に相談することをお勧めします。ハローワークでも情報提供や相談が可能です。
  • Q3: 途中で辞めてしまったらどうすればいいですか?
    • A: 外国人労働者が自身の責めに帰すべき事由によらずに雇用契約が終了した場合(倒産、解雇など)には、企業は公共職業安定所などと連携し、新たな就職先を見つけるための転職支援を行う義務があります。安易な解雇や雇い止めは避けるべきです。また、不当な保証金や違約金契約は禁止されており、企業は賠償責任を負う可能性があることにも留意が必要です。

まとめ:海外人材採用で、企業の未来を切り拓く

深刻な人手不足が続く日本において、海外人材採用は企業の持続可能性を高める重要な採用戦略となり得ます。外国人材を受け入れることは、人材不足の解消だけでなく、多様な視点と国際競争力の向上、生産性向上、海外展開への足がかり、インバウンド対応力強化、社内活性化など、多岐にわたるメリットをもたらします。

しかし、同時に文化・言語の壁、煩雑な手続き、差別問題といったデメリットや注意点も存在します。これらの課題を克服するためには、企業は適切な情報収集と日本の法令遵守を徹底し(特に同一労働同一賃金や社会保険・労働保険の加入、支援費用を外国人本人に負担させないことなど)、外国人材への深い理解と、生活面や精神面を含む包括的な定着支援体制を構築することが不可欠です。自社での対応が難しい場合は、登録支援機関などの外部専門機関の活用も有効な選択肢となります。

適切な採用戦略と定着支援を通じて、外国人材は単なる労働力としてだけでなく、企業の新たな価値創造と成長に貢献する重要なパートナーとなります。今後も増加が見込まれる外国人材を長期的な視点で活用し、共生社会の実現を目指すことが、企業の持続的な発展に繋がるでしょう。

海外人材採用に関するご相談や具体的なサポートが必要な場合は、ぜひお問い合わせください!